甲状腺という臓器はちらほら聞いたことがあるのではないでしょうか?
しかし副甲状腺になると名前程度で全く知らないという人の方が多いと思われます。
副甲状腺の機能についてご紹介していきたいと思います。
副甲状腺は甲状腺の裏側にあり、4〜5mmという米粒くらいの大きさの内分泌腺で、上皮小体(PTH)とも呼ばれています。
甲状腺の側部、上下2つずつの計4つの内分泌腺です。
この副甲状腺は基本的に4つとされていますが、3つや5つという人もいるので、全員が4つとは言い切れません。
副甲状腺から産生させる副甲状腺ホルモンは、血液内のカルシウム濃度を正常に維持する働きをしています。
私たちの血液からカルシウムが不足すると、副甲状腺ホルモンが分泌されます。
副甲状腺ホルモンが血液中に多く流れることによって、骨に蓄えられているカルシウムが血液に溶けだされ、血液中のカルシウム濃度を元に戻す働きをしています。
それとは反対に、カルシウムが産生され過ぎると副甲状腺ホルモンの分泌を抑制して、カルシウム濃度を降下させる働きをカルシウムがします。
しかしカルシウムを代謝するにはビタミンDの存在が必要になります。
副甲状腺ホルモンとビタミンDは、血液中のカルシウムが不足したときに骨に蓄積されているカルシウムを血液中に溶かし、腎臓や腸から吸収し、血液中のカルシウム濃度を高めてくれます。
甲状腺疾患と同じく、副甲状腺にも副甲状腺機能亢進症と副甲状腺機能低下症という疾患があります。
副甲状腺機能亢進症は原発性副甲状腺機能亢進症と二次性甲状腺機能亢進症に分けられます。
副甲状腺機能亢進症は、バセドウ病などの甲状腺ホルモンの代謝異常で起こる甲状腺機能亢進症とは違い、副甲状腺そのものに異常がある疾患などです。
上記でも説明しましたが、副甲状腺は血中カルシウムが不足すると副甲状腺ホルモンを分泌し、骨に貯めたカルシウムを溶かして血中カルシウム濃度を正常に保ちます。
しかし、副甲状機能亢進症は、血中カルシウムが正常値またはそれ以上の数値を示しているのに、副甲状腺ホルモンの産生が止まらずに分泌され続ける疾患です。
副甲状腺ホルモンが必要以上に分泌され続けた結果として、カルシウム不足から骨密度が減少し、骨の中がスカスカで骨折しやすくなる骨粗鬆症になったり、膵炎や腎結石、消化性潰瘍などを併発させていましたが、今では何の疾患からくる症状なのかがハッキリとしない患者も居るようです。
原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺自体に問題があり、副甲状腺が腫脹し副甲状腺ホルモンを産生し過ぎる疾患です。
原発性副甲状腺機能亢進症は複数の副甲状腺が肥大する過形成という良性腫瘍、一つの副甲状腺だけが肥大する良性腺腫、最期に悪性腫瘍(がん)の3つに分けられます。
二次性副甲状腺機能亢進症は続発性副甲状腺機能亢進症とも呼ばれています。
副甲状腺以外に原因があり、ビタミンD欠乏症や慢性腎不全などの原因により甲状腺ホルモンが大量に作られ、血中カルシウム濃度が必要以上に高まる病気を二次性副甲状腺機能亢進症と呼んでいます。
甲状腺腫瘍などの頸部手術において副甲状腺が切除されたことにより、血流障害などを引き起こし、副甲状腺ホルモンの分泌が現象する病気です。
副甲状腺内に体液が溜まったものを副甲状腺のう胞と言い、徐々に肥大していく疾患です。
副甲状腺のう胞には、副甲状腺のホルモン数値が高くならない非機能副甲状腺のう胞と、副甲状腺ホルモンが大量に産生される機能性副甲状腺のう胞があります。