甲状腺の働きは正常で、炎症や腫瘍などのはっきりとした病態を取り除き、炎症や腫瘍などに分類されず未だに原因の解明されていない、びまん性の甲状腺腫を単純性甲状腺腫と称しています。
甲状腺機能に腫瘍や炎症などの異常や、甲状腺ホルモンの過剰分泌や不足で起こる亢進症や低下症などのホルモン異常が見られず、ただ甲状腺が腫れている状況です。
若年層にみられる若年性甲状腺腫脹は、この単純性びまん性甲状腺腫に分類されます。
単純性びまん性甲状腺腫も他の甲状腺疾患と同様に、男性に比べ5〜10倍くらいも女性に多いとされる疾患です。
この疾患に罹患している人の3分の1くらいは、家族や親族にバセドウ病や橋本病など自己免疫性甲状腺疾患を患っていると言われています。
甲状腺が腫れてるので、橋本病とも勘違いされやすい疾患です。
甲状腺ホルモンが正常な人の4人中3人は橋本病と診断され、残った人は単純性甲状腺腫というような報告もあります。
単純性びまん性甲状腺腫は分類分けすることができ、地方性と散発性に分けられます。
ヨードを含んでいる土(土地)や水が不足している国や地方に発症します。
甲状腺ホルモンはヨードによって作られるのですが、全世界という大規模な視野で見たときにヨード不足という国が目立っています。
我が国日本では、ヨードを多く含む海藻類を好んで摂取するため、ヨードを阻害する食材を摂取していたり、甲状腺ホルモンの産生を抑える阻害薬を使っているということがない限り、体内からヨードが不足するということはありません。
逆にヨードの摂り過ぎによる甲状腺機能異常を起こす場合があります。
何が原因して単純性びまん性甲状腺腫を誘発しているのか、まだ解明されていないことが日本では多いと言われています。
若年性びまん性甲状腺腫脹とも呼ばれ、若い女性に多く発症します。
発症の多くは思春期や妊娠中に見られ、家族性ということもあるそうです。
甲状腺ホルモンの数値は正常といえる範囲で、甲状腺細胞の代償性肥大による、びまん性腫脹がみられるだけです。
甲状腺機能低下症などの甲状腺機能の異常はありません。
稀にですが、肥大し過ぎると気管が圧迫されて、喘息や食物を飲み込むのが辛くなることがあります。
甲状腺肥大により甲状腺ホルモンの不足が補われない場合は、甲状腺が肥大したまま甲状腺機能低下症が発症します。
また単純性びまん性甲状腺腫から甲状腺機能亢進症を引き起こすこともあります。
甲状腺ホルモンや不足など、甲状腺機能の改善を目的に行われるようです。
初期治療としては甲状腺ホルモン剤の経口投与に効果があるとされています。
他の甲状腺腫脹を併発するだろうと診断された場合でも、甲状腺腫脹が小さく身体に支障のないケースや、放置しても大丈夫であるものなら経過観察で済むこともあります。
稀にですが、気管の狭窄や圧迫症状が強度になった場合は手術療法となります。